転職の合間にある休日を活用しての、フランスを中心とした一人旅をしました。テーマは自分のことくらいは自分で決める!」。ツアーではない、全6日間の未知の旅・・・どうなるのでしょうか。3日目はパリからロンドン、マルセイユへと移動しました。
◆2010年1月15日(金)
5時30分に起きるつもりだったのに、携帯電話にセットしたアラームを何者かが勝手に止めたために寝坊。で、5時50分に隣室の物音で運よく起床。ホテルの清算を前日にすませておいてよかったー&駅近のホテルでよかったー、でも、いつも見えない何かに救われるのは何なのだろう、などと考えつつ荷物を背負ってガール・デュ・ノール駅(Gare du Nord)へダッシュ。出入国の手続きをして乗り込んだのは6時43分発、ご存知、ユーロスターです。
フランス人とイギリス人の間に向かい合って座席に腰をおろすこと約1時間15分、英仏海峡(ドーバー海峡)を横断していることにも気がつかず7時58分、あっという間にロンドン(イギリス)のセント・パンクラス駅(St Pancras station)に到着です。
観たい場所が数カ所あるだけで、とりあえず何をすべきかは現地で考えます。何はともあれ重い荷物をなんとかせねばなりません。フランス語から英語に逃げて少しだけ安心した私ですが、公共の場において結局はピクトグラムが命です。鞄のアイコン、こりゃあ、コインロッカー的なものだろうよ、ということで向かうと案の定、そこは手荷物預かり所。英語の注意書きの紙を見せられてたどたどしていたら裏に日本語の記述があり、大きくうなずくと無事に荷物を預けることができました。
考えてみれば、またもや前日の夜は何も食べていないわけです。と、いうことで、駅の構内にあった冷たい風の吹きすさぶスターバックスへ飛び込み、日本と同じ感覚で注文をしてよっしゃ通じたと安心したのもつかの間、ユーロを出してしまい、奥に入れていたポンドを出すのに30秒くらいかかりました。列はのび、店員さんも同情の表情。でもまあ、いいや。空腹は最高のスパイスとはなるほど、うまいことを言ったものです。4.80ポンド、1ポンド=約145円として換算すると約700円。
旅の軸足はフランスなので、イギリスに関することは頼りないガイドブック1冊だけ、それもほとんど目を通していません。にっちもさっちもいかないので、とりあえず駅から外に出てみました。うわ、なんだかすごい! イギリスみたいだ!
舞い上がって写真もなんだかテキトーです。お許しください。
まずは地下鉄だろうということで乗り場を探してさまよい、同じ場所を2回も通ったり「違う、隣のビルだ」などと言われながらもロンドン地下鉄の一日乗車券を購入。キングス・クロス・セント・パンクラス駅(King’s Cross St. Pancras station) からサークル線 (Circle Line) に乗ってタワーヒル駅 (Tower Hill station) へ。
駅前に世界遺産があるというのはどういうことなのでしょうか。
ロンドン塔が目の前に広がります。
(怒られるかもしれませんが)私が観たいのはこちらではなくて、
こちらです。タワーブリッジ。イギリスに来て、まず観たかったのがこの橋です。ミーハーなのでしょうね、私は。
いつものように鼻息荒く小走りで橋の上へと移動します。
おカネさえ払えば塔に上ったり機械室を見たりもできたのですが、時間の関係で断念。
日本の勝鬨橋を連想してしまいました。おそらくは似て非なるものなのでしょうけれども。
どの角度から観てもすごい迫力です。
外国の観光客から声をかけられ、お互いの一眼レフカメラで写真を撮り「オウ、グーッド」などと褒め合いながらタワーブリッジを小走りで後にします。余談ながら、よくiPodで洋画を観ているので、写真を撮り合うくらいのコミュニケーションはとることができます。「ワット アーユー ドゥーイング」とか、「ゲラウト ヒアー」とか。
歩いてロンドン・ブリッジ駅(Lodon Bridge station)まで来ました。電車に乗るわけではなく、聞いたことがある名前の橋を観るためです。
ロンドン橋、落ちたー♪という歌を思い出したので来たものの、見た目は何のことはない橋でした。ただ、調べてみると歴史がつまっているようです。
ロンドンのバスは「レッドアロー」と呼ばれる1階建てと、名物の「ダブルデッカー」と呼ばれる2階建てがあります。いずれも乗る前にチケットを購入します。
ずっと早足で歩いてはいるものの、観たいポイントをクリアする自信がありません。そんな中でも「乗らずに後悔だけはしたくない!」ということで、行き先がわからない、でも一度は乗っておきたい2階建てバスに飛び乗ります。行き先なんて乗ってから考えればいいんだ。
バスの2階から、しばしロンドンの街並を眺めます。
バスの路線図を見ると、ロンドン地下鉄の駅にあたるバス停に停まる気配。今度はあわてて下車します。
着いたのはバンク駅(Bank station)。地下との出入り口以外、地上に一切の構造物がない完全な地下駅だそうです。
目の前には旧王立取引所が建っています。
ロンドンの地下鉄の案内図や路線図で全面的に使われているフォント「New Johnston」をデザインした日本人が、「メイリオ」(Meiryo)をつくった人と同じということを知り、ビックリ。
ホームへ行くために歩いていると、エレベーターとその横に階段がありました。階段を下りてはみたものの、あまりにたどり着かず不安になり、戻ってきたところへ数人が階段を下りていきました。なんだ、問題ないんだな。
もちろん、ロンドンでもiPhone 3GSはスタンダードアイテムです。
ロゴの色と車両の色とが見事に合っています。
バンク駅(Bank station)を歩いていると通路でつながっていたようで、いつしかモニュメント駅(Monument station)に来ていました。サークル線 (Circle Line) に乗って、ウェストミンスター駅(Westminster station)で下車。地図によれば、駅の周辺には世界遺産が3カ所もあるとのこと。
ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)。
小雨が降ってきたので、小走りです。もっとも最初から小走りのままですが。
スケールが大きすぎて何を観ているのかよくわからなくなってきました。
ウェストミンスター寺院。
聖マーガレット教会。ウェストミンスター寺院に隣接しています。
ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)に向けてでしょう、何かを訴える小さな集団がいました。
もちろん、そんなことにはおかまいなく前へ進みます。ウェストミンスター駅周辺での滞在時間は約20分でした。
小走りのままの撮影なのでうまく伝えることができず申し訳ないのですが、ウェストミンスター駅のデザインはものすごく魅力的です。
「かっこいい、うわー、かっこいい駅!」と言いながらシャッターを切りながら走り去る日本人は異様だったに違いありません。
ウェストミンスター駅(Westminster station)からジュビリー線(Jubilee Line) ・サークル線(Circle Line)と乗り継いでキングス・クロス・セント・パンクラス駅(King’s Cross St. Pancras station)へ向かいます。
乗り継ぎのベーカー・ストリート駅(Baker Street tube station)ではグルグルと同じところを迷っていました。調べてみたらロンドン地下鉄路線網では最も多いホームを持つ駅とのこと、迷うのも仕方がないというものです。
と、いうわけで4時間ぶりにセント・パンクラス駅(St Pancras station)へと戻ってきました。預けた荷物を引き取ります。
約4時間前に駅へ着いたとき、まず最初にこの何の変哲もない案内の看板を30秒ほど見て、右へ向かうか左へ向かうかを決めました。荷物を預けるために左へ向かったのですが、今となっては右が正解だったのかもしれません。人生を可視化できたような気がしました。
駅の構内にはバラエティにとんだ店舗もあり、この回転寿司もそのひとつです。
実は、2時間以内にロンドン スタンステッド空港(London Stansted Airport)へ行かなければならないのですが、ここに来てどこへどう行けばよいのか皆目、見当もつきません。持ってきたガイドブックにスタンステッドの「ス」の字も載っていなかったことは想定外でした。英語での会話はできず、調べるネットの環境もなし、迫りくる時間の波、重い荷物のために誤れない行き先。旅におけるいくつかの「必死ポイント」だったことは間違いありません。
混み合うインフォメーションを見つけて、「Stansted Airport」と印字された紙とロンドン地下鉄の路線図を出し、ペンで丸をつけるジェスチャーで印を付けてもらったのがリバプール・ストリート駅(Liverpool Street station)。急いでサークル線 (Circle Line) に乗って、リバプール・ストリート駅(Liverpool Street station)で下車。なんとか、空港へ向かう直行列車スタンステッド エキスプレス(Stansted Express)の乗り場にたどり着きました。
乗ってしまえばこっちのものです。たぶん。ロンドン スタンステッド空港(London Stansted Airport)までの約40分間を楽しむことにします。
乗客がほとんどいない列車が快適に走り出したので、どこぞで買っておいたサンドイッチと水で昼食とします。ここまで、思い返せばパンと水もしくはコーヒーしか口にしていません。
あっ、羊! たくさん、います。わかります? よね。
まったりしていたら、いつの間にか終点のロンドン スタンステッド空港駅(London Stansted Airport)に着いていました。あわてて降りて、重い荷物を運ぼうとするとカートの使用に1ユーロかかることがわかり、しぶしぶ投入。
なんとか、時間どおりに着きました。よかったー。
旅における移動と宿泊についてはすべて、あらかじめ日本で予約を済ませています。しかし、ここから先に関しては、出発する前から問題なく進めるかが不安でした。ここから乗る飛行機の航空会社は「ライアンエアー(RYANAIR)」。イギリスでもっとも格安とされる航空会社です。心配の要因は、やたらにメールが届いていたということ。英語なのでアレですが、なにやら「機内に持ち込める荷物は一人あたり1つだけだから。わかる?」みたいな。
搭乗手続きは問題なし、航空機も見た目は問題なし。
で、いざ、搭乗しようとすると、止められました。荷物をひとつ減らせ、と。着替えなどが入っている重い荷物は別途、料金を支払って載せたので問題はなかったのですが、肩掛けのバッグの他に、空港で買ったお土産の入った大きなビニール袋がダメなようです。「え、だって、今しがた買ったばかりの荷物じゃん」という理屈は通らないようで、仕方なく肩掛けのバッグに無理からお土産を詰め込みました。ひどいものです。
要は、ものすごく格安の航空であるがために乗客のレベルもそれなりで、「預ける荷物に別途料金がかかるなら、全部手荷物にしちゃえばいいんだ」という理屈からたくさんの手荷物が機内に持ち込まれるのを防ぐための策、ということです。
いざ、搭乗。あ、考えてみればタラップを使っての搭乗は生まれて初めてだなー。入間の航空公園で展示機へ乗るときに使って以来です。
前と後の両方から乗ります。
搭乗している最中にも真横ではガンガン離陸していきます。
なんとか乗り込んだと思いきや、なかなか離陸せず。度重なるアナウンスごとにざわめきが起こり、中には一度しまった鞄の中から搭乗券を出すシーンが何度も見受けられました。まったく関係ない話ですが、このとき私は初めてボーディングチケット(boarding tickets)=搭乗券、ということを知ったわけです。それはそれですごい話ですが。大きなハエが飛ぶ中、約30分遅れの17時30分に離陸しました。ハエは関係ないか。
普通の飛行機ではテーブルが折り畳まれている部分に描かれていたのは避難時の脱出方法。これは、飛行機の体(てい)をしたバスなんだな、と気がつきました。
約3時間後の20時30分、飛行機は無事にフランスのマルセイユ(Marseille)のプロヴァンス空港(Aéroport de Marseille Provence)に到着。マルセイユは、フランスでパリに次ぐ人口の多い都市です。
空港からは、手配していたレンタカーに乗り換えます。これが、試練の始まりでした。この日は以後、載せることのできる写真がありません。写真を撮るのは無理というものです。
あらかじめ予約をしておいたので、運転免許証・国際運転免許証・クレジットカード・予約票を空港にあるレンタカーの営業所で提示、サインして手続きは完了。営業所では英語が通じます。キーとオプションのカーナビを受け取って、クルマのところへ行きます。ガイドブックによると「ホテルは18時を過ぎても連絡がない場合、キャンセルされてしまう可能性もあるので、遅れる際には電話をしたほうがよい」とのこと。しかし、電話をかけても通じそうにないし、焦っても仕方がないので、まずは移動をすることにします。
カーナビは随時取り付ける、GPSを内蔵した簡易タイプ。電源は入ったものの、バッテリーを得るためのコネクタが自動車の中に見つかりません。そんなバカな! と、いうことでクルマの説明書とカーナビを持って慌ててレンタカーの営業所へ駆け込むも、わからないとのこと。そんなバカな! とにもかくにも出発が先、ということで、充電された分を大切に使いながら進むことにします。
借りたクルマは、マニュアル車、(当然のことながら)左ハンドル。ニューヨークでもオートマ車を借りて乗ったことはあるので、左ハンドルと車両の右側通行に関しては大丈夫だろうと考えていました。昨年まで乗っていた実家のクルマもマニュアル車だったので、これも問題なし。
実際に乗ってみるとギアやウインカーまで日本と左右が逆。これには戸惑いました。しかし、ぐだぐだしていると寝る場を失ってしまうので空港の前を3周ほどグルグルと回り、いざ空港の外へ。運のよいことに薄暗い道路には自分以外の自動車は一台も走っていません。なぜなら先は行き止まりだったからで、仕方なくUターン。をしようと思ってギアに手をかけるも、なぜかバックに入りません。いくらやっても5速までは入るのに、バックには入らない。!! 5分くらい格闘した挙げ句「もうダメだ・・・」と独り言を口にした瞬間、昔、クルマに同乗した父親が免許証を取りたての私に言った言葉を思い出しました。「ギアは、入りにくいことがあるからな」。入りにくい? そうだよな、入らないわけはないよな、ということで試しにギアを下に押し込んでから入れてみると、入りました! バックに。よかったー、などと安心している間もなく、Uターンをしてあらためて空港から出てみると、いきなり高速道路でした。
地図から見る移動は以下のとおり。正しく進めば約30分で着く距離ではあります。
でも、実際には約2時間かかりました。どこをどう走ったのか、今となっては知る余地もありません。
フランス語で話すカーナビとプリントアウトしたGoogle Mapを頼りに、エンストを繰り返しながらもなんとか宿泊先の近くまで来ました。しかし、どうにもたどり着きません。さまよっていると、ちょいとクルマで町まで夜遊びに行きまっせー的な3人の若者を発見。ちゅうちょなくたずねてみると、「あ、知っているよ、ついてこいよ」と親切にも誘導までしてくれました。助かったー。思わず日本語で「ありがとう」と言ってしまったことは言うまでもありません。
宿泊先のキリヤード マス デ オリヴィエ(Kyriad Mas des Oliviers)には23時過ぎに到着。私(の、おそらくはくたびれた姿)を見た女将さん的な人は、「いいから、何も言わずにとりあえず休みなさい」と言わんばかりに部屋のキーを渡してくれました。部屋へ入って、風呂に入れるって幸せだなーと感じつつ、この日は無事に終えていくのでした。
ユーロスターって今St.Pancrusに着くんですね・・。
それにしても写真がとても綺麗です。次に会う時にはぜひ他の写真も見せてください。
アンダーグラウンドの駅とか車両とかすごいきれいになってる。オリンピック効果かしら。
興奮してる感じがよく伝わってきます。楽しい旅行記。
「イギリスとか、行ったら面白そうだな…」と思っていたらまさか、ほんとに行っていたとは。。。
遠い昔、どこかでおおがみさんと繋がっていたとしか思えませんでした。
3日目の続きが気になります。
レンタカーとは、、、。
冒険してますね。
>>まめさん
お詳しいですね。
London WaterlooからSt.Pancrusへと変更になったのは、2007年のことのようです。
写真、小走りで移動しながら撮ったものばかりなので、お見せできるものがあればよいのですけれど。
>>flexieさん
お詳しいですね。
今、調べて知ったのですが、2009年に投入された新型車両だったようです。
ロンドン地下鉄の新型車両お披露目。 – A Japanese In London –
どうりで、ネットでの写真で見る車両と違ったわけです。
勉強になりました。
>>realdeadmanさん
フランスから数時間で行くことができるとは考えていなかったので、私自身も意外だったりします。
不思議ですよね。
>>ぼんじさん
できることは、可能な限り挑戦したかったのです。
やらない後悔だけは避けたいかな、と。
無謀といえば無謀ですけれど。